省エネ住宅には、暖冷房費と健康（医療費）という2つの面でメリットがあります。この10年ほどの研究で、私たちの従来の暮らしには大きな健康リスクがあることが分かってきており、一方で、健康に暮らせる家であれば、医療費が削減されて家計にもやさしいことがデータで示されています。

昨今、脱炭素のかけ声のもとに住宅の省エネ化が進められていますが、注意しなくてはならないのは、日本の住宅は暖冷房に使用するエネルギーが欧米に比べ小さく、欧米と同じような対策をしてもあまりメリットは大きくないという点です。私たちは、日本の住宅事情や気候を前提に、暖冷房エネルギーや省エネ住宅のあり方について考える必要があります。「健康な住まい」をリーズナブルな価格で建てることができれば、住まい手の満足度はかつてなく大きなものになるでしょう。家族の笑顔と健康を守る住まいづくりは誰にとっても理想ですが、そのためには高断熱化が非常に重要なカギとなります。

本セミナーでは、健康・快適でエネルギー性能に優れた住宅のありようを研究している岩前篤先生（近畿大学副学長、工学博士）をお招きし、様々な知見と共に「住まいの健康性」という新しい概念を分かりやすく解説いただくとともに、これからの住まいのありようについてお話しいただきます。なお、インテグラルでは、2023年12月8日に「ホームズ君 マイホーム断熱診断」の追加機能として、断熱リフォーム後の年間の「健康維持費の削減額」（目安）を算出する機能を公開しましたが、この機能の開発にあたって、岩前篤先生が共同執筆された論文※1を参考にさせていただきました。
皆様のご参加をお待ちしております。

※1　藤田浩司、岩前篤、佐藤寛、高原梨沙子、鈴木曜：「住宅内温度に応じた医療費推定法の提案と医療費を考慮した経済的な住宅断熱性能の検討」、日本建築学会環境系論文集、第85巻、第768号、pp.159-167、(2020)